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リコーアジャイルを自ら実践してカイゼンする!チーム運営を組織スクラムでやってみた 前編

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」運営の林です。
このnoteが始まった 約1年前、インタビューに登場したり記事を書かせていただいたりしていましたが、最近はご無沙汰しておりました。
 
実はこの4月に、リコーを芯からアジャイルにするタスクフォース(通称:リコ芯TF)に異動となり、リコーアジャイルの普及浸透をメインに活動していくことになりました。以前よりはnoteに登場したり、今回のような記事の執筆も増えてくると思いますので、改めてよろしくお願いいたします!
 
 
私たちは「リコーアジャイル」を全社に浸透させるため、noteで様々な情報発信をしたり、セミナーやワークショップイベントを開催してきました。

昨年の中期経営計画で「デジタル人材の育成」として目標に掲げ実践してきたことが、今期第21次中期経営戦略の中では「リコーアジャイル」として言及され、さらに詳しい目標となっています。

2023年3月7日 第21次中期経営戦略 資料 33ページ「人的資本の考え方:3つの柱」より
https://jp.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/jp_ricoh/IR/events/2022/pdf/r04_keiei.pdf

これを受けて、リコ芯TFでは「リコーアジャイル」をもっと積極的にPRしていくことになりました。

 


リコ芯TFに異動して感じたこと

異動してまず感じたことは、とてもやることがたくさんあるチームだな、ということでした。さらに活動そのものが試行錯誤の繰り返しであり、まさにアジャイルな動き方が必要なチームだと感じました。

 リコ芯TFが目指すところは、リコーグループ全体で「リコーアジャイル」が仕事の進め方や組織運営に適用され、「普通」になっていることです。

そして私達は「リコーアジャイル」を推進しているタスクフォースですから、自らも率先して実践しなければなりません

私が異動する以前からも、「リコーデッキ」や「ふりかえり・むきなおり」、「WorkTo(バックログツール)」でのタスクの見える化など、組織アジャイルを自走する実践プログラムを自ら活用して組織運営を行っていました。

 ただ、このチームに限ったことではないのですが、急ぎの仕事への対応が増えたりやることが多くなってくると、チームの組織運営に気が回らなくなります。

特に、成果を積み上げカイゼン活動をして、組織が学習して強くなっていくための「スクラム」の動きがあまり上手くできていないようにも感じました。

チーム運用方針を作ってみた

スクラムで動く前に、まずタスクフォースチームの運用方針を考えてみました。4月からの施策はある程度決まっていましたが、各個人がどう動いていくのかがまとまっていなかったので、施策をチームのみんなで整理しました。

リコ芯TFの活動は、4つに分類されました。

  1. リコーアジャイルの宣伝広報活動

  2. リコーアジャイルの普及浸透と実践の仕組み作り・浸透指標作り

  3. リコーアジャイルの全社教育向けのコンテンツと教育プログラムの作成

  4. 顧客・社外パートナーとの共創へのリコーアジャイルの活用

それぞれの活動はまだまだ試行錯誤が必要なもの、時限でやることがある程度決まっているものなど、特徴があります。また、チームとして動く必要があるもの、多くを個人作業で進捗できるものという分け方もできました。

 この中で2.と4.は試行錯誤が必要で、かつチームでの活動が必要なものでした。そのためこの2つはスクラムで動くことにして、それ以外はカンバンとしてタスクの管理をしていきます。

 ここで配慮したことは、スクラムは最初からきっちりやり切ることに重きを置かず、まず始めてみて、チームがスクラムのイベントや動き方に慣れていくことを優先したということです。私自身がスクラムマスターの位置づけとして、スクラムの各種イベントをファシリテーションしていくことにしました。

スプリント期間(2週間)の過ごし方イメージを作成して共有
月単位で見た3ヶ月間の過ごし方イメージを作成して共有

「伝統的な組織運営」とのハイブリッド


さて、スクラムで動いていくことになった活動も、どうしてもこれまでの仕事のやり方が残る部分がありました。組織として上位職に進捗報告する会議や相談会、半期・年度の目標設定などの伝統的な組織運営の部分です。

本来であれば、スクラムの活動でチームのタスクもその状態も見える化され、成果物もスプリントレビューで確認できるようになります。そうすると、進捗を報告するだけの報告会やただ聞いているだけの情報共有会などがなくても、皆がチームやタスクの状態が把握・理解できるようになるはずです。

しかし今の段階では、上位職や他部署のマネジャーまで巻き込めるものではありませんでした。
会社全体にリコーアジャイルを広めるためには、関係各所への説明や調整も大事なのですが、まず自分たちがアジャイルに動ける身体を早く作ることを優先しました。
多少は二重管理になることは許容したうえで、スクラムとは違う場(会議)でタスクフォースの進捗報告や情報共有も行うことにしました。

また、試行錯誤が必要な中、半年先や一年先までのことは正確には言い表せません。しかし伝統的な運営では、年度の上期・下期で組織の目標設定が必要になります。アジャイルだからといって目標が要らないというわけではありません。

半期や年度の目標設定は変わる可能性のあるものとメンバーは理解しつつ、「むきなおり」で修正していく運営としました。そして設定した目標にどう向かっていくかを、直近の分かる範囲(月次ごとやスプリントごと)でゴールを設定してやるべきことを決めていきました。

エレベーターピッチで共通認識を作る

リコ芯TFが立ち上がった昨年度の時点でも、リコーデッキ(組織観点でのインセプションデッキ)で、自分たちのチームは何者なのか?チーム全員で言語化したと聞きました。

作ってから時間も経っていたりやることも変わっていたりしたので、今年度も改めてリコーデッキを作ることにしました。しかし、もしリコーデッキの全てのアジェンダをフルで実施すると、かなりの対話時間が必要になります。

今のチームは全く知らない同士ではないこと、これまでもリコーアジャイルに関する業務を実施してきていることから、リコーデッキの中の「エレベーターピッチ」の部分だけを作ることにしました。

エレベーターピッチとは、多忙な社長や投資家とエレベーターに乗り合わせた時に、自分のプロジェクトをエレベーターが上昇する30秒の間でプレゼンテーションするシーンを例えていて、端的に自分のプロジェクトを説明する文章のことです。

チーム活動のフェーズによって変わっていくものになりますので、まずは2023年度の上期にフォーカスして、チーム内で2時間ほど対話をしてエレベーターピッチを作成してみました。

・自分たちが提供できる価値は何か?
・(社内・社外含め)自分たちのお客様は誰か?

などを、みんなで書き出して議論していきます。

 このプロセスでは、リコーアジャイルの中でも「デザイン思考」のアプローチが活きてきます

さすがは普段からデザイン思考やアジャイルのワークショップを実施しているメンバーたち、ファシリテーションをしなくてもどんどん言語化され、一緒にまとめていくことができました。

 これによりチームのメンバーの共通認識が生まれたように感じましたし、そもそもこのエレベーターピッチを作る過程のディスカッションで、お互いがどういう観点で取り組んでいるのか、何を重視してやりたいのかなどのそれぞれの価値観が表出して、それを認識し合うことでチームの関係性の強化にも繋がったと感じています。

「リコーアジャイルの普及浸透と実践の仕組み作り・浸透指標作り」
活動チームのエレベーターピッチ

緩い約束ごと(ワーキングアグリーメント)

 また、一緒に働いていく仲間同士で気持ち良くストレスレスにやっていくために「ワーキングアグリーメント」も作りました。
 「ワーキングアグリーメント」とは、仕事を一緒にやる上での約束ごとです。

約束ごとといってもガチガチなルールをたくさん作るのではなく、少なくとも守っていこうね、これを守っておくとスムーズに仕事できるよね、というものを簡単に箇条書きにしていく感じです。

リコ芯TFでは以下のようなワーキングアグリーメントになりました。

● スクラムイベントの前にはバックログの状況を事前に書いておく
● グループチャットでの身内での承諾やお礼は、「いいね」などスタンプだけで省力化する
● 確定している予定、仮の予定はできるだけスケジュールにいれる
● 空いているなら事前の調整なくても打ち合わせなどの予定を入れて良い
● スクラムイベントに出られない人が後から観られるように録画する(リモート時)

これは一度作ったら終わりではなく、日々追加していったり、不要になれば削除していきます。ふりかえりの場で出た改善点からみんなが守っていくべきものがあれば、追加や更新もしていきます。
 
ちなみにワーキングアグリーメントが守れなかった場合は、自己申告制でポイントを付けていき、どこかのタイミングで一番多い人が懇親会の幹事をするという、軽いペナルティも設けました。
 
このように形骸化しないようにしつつ、変なプレッシャーを与えないでチームでルールを守っていく工夫もしています。
 
後編に続きます。

 


リコーでは組織全体でデザイン思考とアジャイルを取り入れた改革に挑戦中です。noteを読んでくださっている社内外の人たちと知見を交換できると大変嬉しいです。これからも、デザイン思考とアジャイルの実践現場から、みなさんの役に立つ情報をお届けしていきます。

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