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先生教えてください!デザイン思考とアジャイルって何が違って何が同じ?

こんにちは、リコー公式「みんなのデザイン思考とアジャイル」notePRチームです。
先日、リコーデジタルアカデミーとのスペシャル企画として「デザイン思考」「アジャイル」、それぞれに精通するエバンジェリストのお二方をゲストにお招きし、対談イベントを行いました!

本イベントでは、デザイン思考やアジャイルについて質問を募集し、ざっくばらんに回答していく形で盛り上がりを見せました。この記事では、その内容の一部をQ&A形式で紹介します。

・デザイン思考とアジャイルは何が違い、何が同じなのか?
・デザイン思考とアジャイルは、どう連動して、どう実践していくのか?
・明日から実践するにはどうしたら良いのか?
・こんな時にはどうしたらいいか?

など、デザイン思考とアジャイルを具体的に実践する際のヒントをお届けしていきます。


エバンジェリストの紹介

▲市谷 聡啓(いちたに としひろ)/デジタル戦略部 CDIO付DXエグゼクティブ・株式会社レッドジャーニー 代表 
サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクトマネジメント、大規模インターネットサービスのプロデューサー、アジャイル開発の実践を経て、自らの会社を立ち上げる。それぞれの局面から得られた実践知で、ソフトウェアの共創に辿り着くべく越境し続けている。

▲百瀬 明 ( ももせあきら ) / 株式会社リコー デジタル戦略部リコーデジタルアカデミー
 i.work 主催 デザインシンカー
イノベーティブな事業創出に取り組む自律型人材にデザイン思考ワークショップを提供し続けて、支援する i.work を主催。実践の結果、デザイン思考は多様な業務の多彩なシーンで活用されることを確認し、毎日のように継続的にデザイン思考を学習できるプログラムを実施中。

デザイン思考に関する質問

【質問】デザイン思考の定義みたいなものがあれば教えてください。

百瀬:たくさんあります。ちなみに、私の場合はしっくりくるものがなかったので、自分で作りました。私は、デザイン思考を一言で「価値共創」、つまり価値を一緒に創るという言葉に定義しています。

体感と直感を活用し、チームでのすばやい試行錯誤によって潜在価値を見つけ、新しい解決手段を生み出すこと、こうした価値共創をしていくのがデザイン思考だと考えています。

本当にいろいろな定義があるので、自分のしっくりくるものを見つけてみるのもいいと思いますよ。

【質問】価値検証において、ユーザー訪問で一次情報を取りに行きたいのですが、時間やコミュニケーションの制約により、N数を稼げません。N数が少ない中で、価値検証をどうすれば良いでしょうか。

百瀬:初期段階での価値検証ではあれば、例えば5件ほどの少数でも大丈夫だと思います。数よりも、価値検証ができるヒアリングになっているかどうかを重視することがより大切かも知れないです。

市谷:私も似たような意見をもっていて、数はそれほど重要ではないかと思います。初期段階では、仮説が粗い場合もあるので、その仮説の中でいくら検証数を重ねても効果を発揮しない可能性があります。

アジャイルに関する質問

【質問】アジャイル開発にて、「仕様書は陳腐化するので書きません。コードが仕様書です」と言われた場合、どうすればよいですか?

市谷:これはアジャイル開発ではよくあることかもしれないですね(笑)アジャイル開発において、全てをドキュメント化するのは難しいですが、ある程度は必要だと思います。

チームで「どこまでドキュメント化していくか」を考える必要があり、プロジェクトの目的やチームでの働き方の変数によって、都度変化させる必要があるかなと思います。

【質問】アジャイル開発は、失敗も多いと聞きます。リコーはアジャイル開発が実践可能な環境なのでしょうか。

百瀬:何を失敗と捉えるかによりますが、デザイン思考の視点からお答えすると、デザイン思考というのは試行錯誤のプロセスなので、最初の仮説がダメだったら、本当の潜在価値がわかるまでそれを繰り返し行なっていきます。ですから、それを途中でやめてしまうと「失敗」になってしまうんですよね。ですから途中でやめないのは大事なことだなと思います。

仮に、「一旦決めた目標が達成できない」ということを失敗と捉えるのであれば、従来通りの目標設定をしてしまうと、簡単に失敗してしまうような気もします。

市谷:百瀬さんが言うように、アジャイルやデザイン思考を実践していくのは、試行錯誤の連続ですよね。私の肌感でいうと、その「試行錯誤」という考え方は、リコー社内に徐々に浸透しつつあるような気がします。

その一方で、例えば「一旦立てた目標は変えられないよね?」というような一言から、メンバー全体がその印象に引っ張られてしまったり、方向性を決めるのに影響したりするようなことはあると思います。

リコーは現在、それぞれの役割の観点から理解のすり合わせができるよう、研修をスタートさせていますから、今後に期待できると思いますよ。

オセロが一気に裏返ることがないように、組織も同じです。日々の地道な活動や、今回のようなイベントを通して、前に進んでいくことが大切だと感じています。今回のような場を設けながら、一つひとつ乗り越えていきたいですね。

デザイン思考とアジャイルどちらにもに関連のある質問

【質問】スタッフ業務や管理業務でのデザイン思考やアジャイルの使い方はありますか?

百瀬:デザイン思考が持つ考え方を、まず自分の仕事の中で使ってみるのがやりやすくておすすめです。「マインド10」という考え方があるので、これを実務で試してみるのはいかがでしょうか。

この考え方の中には、「まず受け入れる」というステップがあります。

例えば、何かの定性調査などをしてさまざまな意見が来たとします。その中に1割くらい変な意見が入っていたとしても、マインド10では「まず受け入れる」ことを大切し、その意見も真剣に考えます。このような考え方は、今からでも取り入れられるものなので、是非試してみてください。

市谷:アジャイルの観点でも似た姿勢があります。まずは受け入れて、そこからチームで「ふりかえり」「むきなおり」をすることが大切だと思います。

【質問】デザイン思考のなかにアジャイルの概念が既に含まれているように感じるのですが、あえてリコーでも「デザイン思考 x アジャイル」というように分けているのには理由がありますか?

百瀬:僕も以前は似たような考えを持っていました。この質問に率直にお答えすると、分けて考えた方が理解しやすいからという答えになります。

市谷:同感です。両者は似ているという認識を持たれがちですが、実はアジャイルは開発寄りのプラクティスが多かったり、スプリントなどの動き方が主な意味だったりします。アジャイルがデザイン思考の概念を全て担保しているかというとそうではなかったりもします。

ただ、サービス開発していくと、デザイン思考などの他の考え方が必要になることが多いので、両者は相互作用が強くなります。

百瀬:そうですね。デザイン思考は、ユーザーの声を聞いたりする価値探索という行為に強いのが特徴的です。そして、その後のゴール策定や具体的なアクションなどはアジャイルの方が強いのが特徴です。

【質問】「アジャイルやデザイン思考、その概念が流行る前からモノづくりをしてきたから、自分は変わらなくていい」と思っている人がいます。どんな対応がいいでしょうか。

百瀬:顧客起点を意識し、その顧客の潜在価値を探求することを促してみる、つまり、「顧客が本当に困っていること」にフォーカスしてみるのはいかがでしょうか。
深掘りをしていく中で、自然と「自分はちゃんとやれていなかった。」と自分を見つめ直すきっかけを与えられるかもしれません。

市谷:何かの手法ができているか否かではなく、顧客に起点を持って捉えた時にどうなのか?と考えてみる、というのはいいですね。

少し話はそれますが、アジャイルもデザイン思考も、どこまでも広がりがあるものです。私自身も何を持って「アジャイルができている」と判断するかは、難しいところだなぁと思っています。

【質問】ルーチンワークでスプリントを回すうちに、マンネリ化や疲弊感を感じてモヤモヤしています。このモヤモヤ感はデザイン思考で解決できますか?

百瀬:スプリントを回すうちにモヤモヤしてきたのであれば、まずはチームで話し合いの場を設けてみてはどうでしょうか。

市谷:そうした話し合いの時に重要なのが、「ふりかえり」と「むきなおり」だと思います。「ふりかえり」では、チームで現状の課題や出来ていることなどを棚卸し、「むきなおり」で目標や目的を再定義し、ギャップを埋めていく行為が大切になっていきます。

その「ふりかえり」と「むきなおり」を意識しながら、百瀬さんがおっしゃるように、ぜひチームで話し合いの場を設けて、より良いチームをつくっていきたいですね。

▲miroを活用した対談イベントの様子

いかがでしたでしょうか。
リコーは、組織全体でデザイン思考とアジャイルを取り入れた改革に挑戦中です。これからも、デザイン思考とアジャイルの実践現場から、みなさんの役に立つ情報をお届けしていきます!

百瀬さん、市谷さん、聴講いただいたリコーグループの皆様、ありがとうございました!

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