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アジャイルで肝となる「ふりかえり」の極意

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」運営の永田です。先日メンバーから「アジャイルにおける『ふりかえり』について、詳しく教えて下さい」とリクエストがありました。

「ふりかえり」はアジャイルにおいて、「何からやればよいかと言われたらまずは『ふりかえり』から」と言われるくらい重要なプラクティスの1つです。
重要ではありますが複雑なものではなく、アジャイル未経験の方でも、業務改善のために実施したことがある方は多いのではないでしょうか?

「ふりかえり」はやったほうが良いと思いつつも、ついつい後回しにしてしまったり、やってみたけどイマイチ効果を感じられないという方もいるのではないかと思います。アジャイルにおける「ふりかえり」の方法を知っていると、改善点が見つかりやすくなり、品質やスピードも上がってきます。そのため何かプロジェクトに取り組む時には、「ふりかえり」をフローとして組み込んでしまうアジャイルのやり方が効果的です。
今回はそんな「ふりかえり」についてお話したいと思います。


意外と奥が深い「ふりかえり」について

業務改善のための「ふりかえり」は、製品開発で障害や問題が出てしまった時に再発防止のために行ったり、プロジェクトが終了した時に次のプロジェクトでもっと上手く進めるために実施したりと、アジャイルと関係なく取り組まれている方もいると思います。

これらの「ふりかえり」とアジャイルにおける「ふりかえり」とは何が違うのでしょうか?

Point 1. 短い周期で定期的に実施する

スクラムガイドでは、スプリントごとにふりかえりを実施することが定義されています。つまり、短い周期で定期的にふりかえりを実施します。

上手くいかないことや失敗したこと、逆にうまくいったことから仕事のやり方を素早く繰り返し、カイゼンしていきます。短期間で振り返るため思い起こしの期間も短く済むので、1回あたりのふりかえりの労力や心理的負担も小さく済みます。

Point 2. 人やコミュニケーションについてもふりかえる

スクラムガイドの「ふりかえり(スプリントレトロスペクティブ)」の説明には、以下の記載があります。

スプリントレトロスペクティブの⽬的は、品質と効果を⾼める⽅法を計画することである。 スクラムチームは、個⼈、相互作⽤、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリ ントがどのように進んだかを検査する。多くの場合、検査する要素は作業領域によって異なる。 スクラムチームを迷わせた仮説があれば特定し、その真因を探求する。スクラムチームは、スプリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発⽣したか、そしてそれらの問題がどの ように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。 スクラムチームは、⾃分たちの効果を改善するために最も役⽴つ変更を特定する。最も影響の ⼤きな改善は、できるだけ早く対処する。次のスプリントのスプリントバックログに追加することもできる。

ここに「個人、相互作用についても検査する」と記載されています。これはプロセスの改善だけではなく、人やコミュニケーションについてもふりかえりをしてカイゼンするということです。アジャイルマニフェストの「プロセスやツールよりも個人と対話を」に沿う部分であり、チームで高いパフォーマンスを出すためにはコラボレーションやコミュニケーションが重要なので、この観点を意識することが必要です。

Point 3. チームでふりかえる

上記のスクラムガイドの説明では、主語が「スクラムチーム」となっています。つまり、「チームでふりかえりをする」点も特徴です。
ひとりで閉じたふりかえりを実施するのではなく、チームで実施することで、チーム全体が良くなる活動になります。個別にふりかえりを行うと、自分の価値観や観点の範囲内でしかふりかえることができないため、気づきや学びが生まれにくくなります。一方チームで行うと自分以外のふりかえりを聞き、質問をしていくので、その中で他者の観点に触れ新たな気づきや学びのヒントとなります。また、お互いの考えを知る機会にもなりますので、チームワークがよくなります。

「ふりかえり」のやり方

「ふりかえり」にも様々な手法がありますが、私が普段チームでやっているKPTを使ったやり方を紹介します。

ふりかえり」の3ステップ
1.ふりかえりのテーマを決める
2.ふりかえり期間の出来事を思い起こす
3.KPT(Keep/Problem/Try)でふりかえる

1.ふりかえりのテーマを決める

ふりかえりのテーマを決めることにより、参加者は意見を出しやすくなります。また、テーマに集中した話ができるため、短時間で原因の深堀りがしやすくなります。事前にテーマを決めることもあれば、ふりかえりの場で決めることもあります。
例えば、「次のスプリントをより上手く回すには?」「コミュニケーションを改善するためには?」といったテーマです。

以前、部署でふりかえりを実施したときに、テーマを決めずに実施したことがあります。その時の各メンバーはやっている業務がバラバラだったため、複数人でふりかえりを実施しているのに、それぞれ個人でふりかえりを実施しているような状況となってしまいました。限られた時間で効果を出すためには、テーマを決めることが重要だと実感しました。

2.ふりかえり期間の出来事を思い起こす

カイゼンのアイデアを出しやすくするために、各メンバーが持つ情報を整理します。オンライン会議でふりかえりを実施する場合は、オンラインホワイトボード(miroやMicrosoft Whiteboard)を使用して整理します。
横軸に時間、縦軸にポジティブ/ネガティブとし、印象に残っている出来事を個人ごとに挙げていき、その後共有をします。

3.KPT(Keep/Problem/Try)でふりかえる

思い起こした出来事を踏まえて、KPTと呼ばれるフレームワークを使って、カイゼンのアイデアを出します。最初に良い取り組みのため継続したいこと(Keep)と、問題や気がかりなこと(Problem)を個人ごとに挙げます。それぞれを共有しながら、深掘りした方が良い項目の根本原因を特定していきます。
Keep/Problemを踏まえて、次にやること(Try)を挙げていきます。Tryに関しても個人で挙げたあと共有し、具体的でない場合は具体的なアクションに落としていきます。
実施する項目を投票などで選び、ToDoリストやバックログなどに積みます。

KPTはシンプルでよく使われるフレームワークですが、やり方によっては表面的なふりかえりとなってしまい、問題が再発する場合もあります。そうならないためにも質の高いKeep/Problemを挙げて原因を特定することが重要です。

「ふりかえり」とデザイン思考

質の高いKeep/Problemをいかに挙げていくのかという部分に、デザイン思考を活かせるのではないかと考えています。

良い問いを設定し、Keep/Problemを挙げ原因を特定することで、より効果の高い「ふりかえり」ができるのではないでしょうか。

他にも、繰り返し「ふりかえり」を実施していくと、Problemが出てこなくなったりします。そのような場合でもデザイン思考の考えを活かし、我々自身の持つ課題を見つけるのに活用できると思います。

私もまだまだ試行錯誤しながらふりかえりを実践している状況ですが、ふりかえりを実践してみようと思っている方の参考になれば嬉しいです。


本noteではこれからも「デザイン思考」「アジャイル」への取り組みをご紹介していきます。ぜひこのnoteをフォローして、私たちの最新更新を受け取ってください。またコメントやフィードバックをいただけると嬉しいです。

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「みんなのデザイン思考とアジャイル」事務局 永田


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