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75%に意識の変化あり。リコーの管理職に向けてデザイン思考とアジャイルの研修をやってみたら

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」をリコーで運営している武田と室井です。今回は、昨年末に実施したリコーの管理職向け研修「“リコーを芯からアジャイルにする ” は、リーダーから始まる!」をご紹介します。研修の背景、内容、実施後の施策のご紹介を通して、リコーでじりじりと広がる「リコーアジャイル」の浸透にむけた進捗を感じ取って頂けるとうれしいです。

※「リコーアジャイル」の浸透とは
リコーアジャイルの浸透とは、デザイン思考とアジャイルの考え方・手法が日常的な組織運営にまで浸透し、困難な課題や未経験かつ不確実性の高い課題に対して、いつでも対峙できるような組織力をリコー全体で獲得できている状態のことです。


なぜ、管理職に向けて研修を始めたか

リコーの組織階層は典型的なピラミッド構造で、第四階層まであり、それぞれの階層で取りまとめる管理職:リーダーが存在しています。

第一階層:BU(ビジネスユニット:事業部に相当)
第二階層:センター
第三階層:室
第四階層:グループ

今回の研修は国内リコーグループの第二/第三階層長、約450人を対象にして実施しました。
このような比較的上位層に対して研修を行った背景には、以下のような仮説がありました。

  • 上司とメンバーの間で、デザイン思考やアジャイルに対する理解にギャップがあり、組織運営や事業開発など現場での実践の障害になっている。

  • 興味関心があっても、実際の業務で運用されないと浸透や持続性に限界がある

  • 「デジタルサービスを提供する会社への転換する上で、アジャイルなはたらき方が必要」と言われても、具体的にどうしたらいいのかわからず、過去のやり方を踏襲していることも多い。

  • 希望組織に対する実践的な支援や、関心の高い個人が参加するコミュニティでの教育機会の提供といった、ボトムアップ活動が伸び悩んでいる。

こうした状況に対応するためには、実際に組織を動かすことができる管理職が推進役を担い、リコーに適した形を持続的に試行錯誤してもらいながら見つけてもらうことが必要です。研修はそのための基礎的な考え方、マインドセットを伝えることにフォーカスして実施しました。

研修の一つのゴールとして、参加者が自組織でアジャイルリードになることを掲げ、最初に「皆さんが『アジャイルリード』になってください」とお願いしました。アジャイルリードとは、アジャイル界隈でいわれている「スクラムマスター」のような存在です。管理職が率先して、デザイン思考やアジャイル導入の本質を実際の業務に反映していくことが、「芯にアジャイル」なリコーになるための一つの柱になると考えたのです。

研修の内容

研修の内容は、参加者であるベテランの管理職にとっては当然知っているような基礎的な内容ばかりです。ただ、基礎は基礎ゆえに難しく、なかなか手の届かない「理想」でもあることを認識したうえで、研修をデザインしました。

デザイン思考とアジャイルといっても、その根底にある思想はごくごく一般的な組織運営における常識と変わりません。その上で「理想」を実現しやすくするフレームワークでもあることを理解してもらい、実行の足掛かりをつくることが狙いでした。

研修では、リコーアジャイルを実践する組織がとるべき態度として重要になる「関心」「学習」「自律」をテーマにして進行しました。それぞれ組織運営において起こりがちな「あるある」問題を扱いながら、チームに分かれて対応策を議論し、個人の認識を他者の視点から認知することで、デザイン思考とアジャイルがもつ基本的な価値観の理解を促すことを試みました。

研修の反応

実施後のアンケートは現在、約370件ほど集まってきています。主な回答結果は以下の通りです。

研修満足度は78%意識の変化は75%、アンケートへの回答に31分(想定回答時間は約10分)と、研修は非常に好評と言えます。また、アンケートへの回答時間やコメント数からも真剣に受け止められていることがわかりました。
 
一方、自部署に持ち帰って実践するとなると、何らかの困難が想像できることがわかりました。この部分に関しては、具体的な学習支援をするサポートプログラム(フォロー研修)や、伴走支援、コミュニティーでの実践者同士の交流を通して課題解決をしていきます。

以下に、いくつかのコメントを掲載します(全体で約1700件あったので、ここでご紹介するのはほんの一部です)。 

具体的な取り組みとして理解できた、というコメント

  • アジャイルは開発チームの手法と考えがちだったが、全社として取り組んでいくことを理解できた。 

  • アジャイル、アジャイルという言葉が昨今良く出てくるが、それが具体的にどういうこと、どういう状態であることを指すのかわからなかったが、今回の研修を通じてそこの理解が深まった。 

  • デザイン思考やアジャイル開発を組織運営にどの様に適用しようとしているか不明だったが、方向性や意図する程度が理解できたので、今後の施策等に反映させていきたい。 

  • 「デザイン思考」「アジャイル」は言葉だけ聞いていた時は自身の組織運営や業務にはあまり関係がないのではないかと思っていたが、今回の研修や事前学習を通じて内容を理解したことによって、自身が実行しなければならないことを実感した。

これから実践していこうという意欲について

  • デザイン思考・リコーアジャイルを理解でき、それを活用することで自組織をありたい姿に近づけようと思えた。 

  • 自分が担当している組織カルチャーにリコーアジャイルを浸透させていこうという思いが強くなった。 

  • マネージャーの行動の在り方について、皆さんの考え(意見)を聴けたことで、自分も意識した行動を実践しようと言う気持ちになりました。 

組織職の参加者同士からの刺激や気づきについて

  • 同じような課題を持つ方々との意見交換が出来た。その中でメンバーへの理解を深める取り組みが参考となった。 

  • 色々な方との意見交換が出来て幅広い考え方などを知ることが出来た。非常に刺激になり今後も積極的に交流を図りたい。

実践する際に困難だと思われることについて

  • 業務内容がウォーターフォール型で作り上げていくものなので、業務では実践しにくい。 

  • 組織が仕事を作ってしまっている部分がある(過度な最適化) これを ”良いこと”と信じて推進してきたメンバーの意識改革 

  • 実務のスケジュールを崩すことなく遂行するのが不安 

  • コミュニケーション機会をふやす為の時間の創出 

研修の後にはじまること

そして、この研修を起点とした活動が今後活発化していきます。

  1. サポートプログラム

    • 目標共有ツール「リコーデッキ」の運用

    • ふりかえり・むきなおり」研修

    • 可視化から組織的なスクラムを促すツール「WorkTo」の運用

  2. 希望組織への実践支援

    • 自組織への積極的な支援の伴走支援

    • まずは自走してみたい組織への相談支援

  3. 慶應SDMとの共同研究の検証活動

    • リコーアジャイルの浸透を計測するための指標開発において、その仮説指標を検証するための実践

「リコーアジャイル」の浸透を目指し、これらもnoteで記事にしていきたいと思っています。

リコーは、組織全体でデザイン思考とアジャイルを取り入れた改革に挑戦中です。これからも、デザイン思考とアジャイルの実践現場から、みなさんの役に立つ情報をお届けしていきます。
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