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身近なイノベーションを発見!プロダクト起点で考える「リバースエンジニアリング」とは

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」運営チームです。

みんデジャでは「リコーアジャイル」を全社に浸透させるため、デザイン思考やアジャイルの学習&実践の場として、セミナーやワークショップイベントを定期的に開催しています。

今回の記事は、3月に開催した「身近なイノベーションを発見する!100均商品を分解してイノベーションインサイトを見つけよう」のイベントレポートをお届けします!

このイベントでは、デザインコンサルティング&クリエイティブエージェンシーのILY.inc代表取締役の辻原咲紀さんに、「リバースエンジニアリング」を用いて、イノベーションインサイトを探る思考方法を実践していただきました。

▲辻原 咲紀(つじはら・さき) /ILY.inc  代表取締役 デザイナー
新卒でデザインプロダクトメーカーに就職、営業・マーケティング・商品企画・デザインの領域を横断し担当。広告制作やブランディングに携わるアートディレクター・クリエイティブディレクターを経験し独立。ベンチャー企業への技術提供・企業立ち上げなどを経て、0→1、1→10まで幅広いデザインに従事。2016年にデザインコンサルティング&クリエイティブエージェンシーのILY.incを設立。経営・事業開発・コミュニケーションなど領域を横断した様々なデザインに取り組む。

100円均一の商品は、「こういうのが欲しかった!」と思うような痒い所に手が届く便利グッズや、その発想に驚いてしまうようなイノベーティブな商品がたくさんありますよね。

今回のイベントは、実際に販売されている商品を分解・解析しながら「このプロダクトはどんなインサイトから生まれたんだろう?」「インサイトや切り口をどうやって発見したんだろう?」とプロダクトからさかのぼってインサイトを探っていくことで、そのイノベーションが誕生するきっかけとなったユーザーのインサイトを発掘していく方法を学びます。

このプロセスを繰り返すことで、企画、マーケティングなど、あらゆる場面で役に立つ思考探索グセを身につけられるかもしれません。

当日のスライドも交えながら詳しく解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください!


リバースエンジニアリングとは?

まず、今回の考え方ベースとなる「リバースエンジニアリング」とはどういったものなのでしょうか。

リバースエンジニアリングとは、既存の製品やシステムの構造や機能を解析し、その仕組みを理解することです。
競合他社などの製品を入手し、動作の仕組みや仕様などを分解・解析して、製造方法やその原理、設計図やソースコードなどを明らかにすることを目的としています。そしてその結果得られた知見をもとに、新たな開発に繋げていきます。

今回は、「製品やシステムの機能や動作原理を理解するため」の目的にフォーカスして、その思考方法を学んでいきます。

リバースエンジニアリングの順序

子供の頃に好奇心にかられて、複雑なプロダクトを部品に分解してみたことがある人もいるかもしれません。
そのようにすごい発見や素晴らしいプロダクトを「どのように発見したんだろう?」「どうやって設計したんだろう?」と探求していくことが、アイデア発想やインサイト発見のためのリバースエンジニアリングの考え方です。

リバースエンジニアリングは、
Step1:分解 → Step2:理解 → Step3:再構築
という工程を経ます。

それぞれのStepは以下のように考えていきます。

Step1:分解 
プロダクトを観察し、機能や特徴を書き出す
※フラットに抽出するために事前情報をインプットしすぎない方がよい

Step2:理解
①プロダクトの利用用途やプロダクトが解決する課題の仮説を立てる
②プロダクトの説明を聞き仮説を検証する

Step3:再構築
①プロダクトのアイデアに至るまでにどんなインサイトがあったのかを検討する
②インサイトを発見「できた」のはなぜか、きっかけやリサーチ手法、特定機会などを検討する
③このプロダクトを0から開発するためのプロジェクトを設計してみる

【実践】100均の商品を分解していこう!


今回のイベントでは3STEPの思考方法を身につけていくため、100円均一ショップ“DAISO”の商品を使って思考実践していきました。

当日行ったワークショップの中から、2つのワークをピックアップしてご紹介します。
ぜひ、皆さんも一緒に考えてみてください。

Step1:分解
まずは「分解」から。どんな特徴があるかを観察し、書き出していきます。
→持ち手がある、先が広い、穴が空いている、黒い  etc…

Step2:理解
これは何に使うものでしょうか?仮説を立てていきます。
→料理のとき、卵焼き、お好み焼きをひっくり返す、肉や魚に使う etc…

実はこの商品、「オムレツ用フライ返し」という商品でした。
オムレツを上手くひっくり返すために横に長く、穴が空いていることでこびりつきを防ぐというもの。
どのように販売されているかを把握し、次のステップに進みます。

Step3:再構築
このインサイトはどのように獲得できたのでしょうか?「誰から」「どんな手法で」をそれぞれ書き出していきます。
→料理初心者、キレイに焼きたい人、よく料理をする人、朝パッと作りたい人 etc…

皆さんはどのようにこの商品を捉えましたか?
ウォーミングアップの次は、この片手だけで売っていた手袋です。

Step1:分解
どんな特徴があるかを観察し、書き出していきます。
→片手用、拭きとれる素材、サイズが大きい、引っかけるためのループがついている  etc…

Step2:理解
これは何に使うものでしょうか?仮説を立てていきます。
→掃除、滑りやすいものを持つ、結露をとる、食器拭き、食材の水気をとる etc…

この商品、「速乾!ヘアドライ手袋」という商品でした。
ドライヤーを持つ手と反対の手に装着し、髪の水分を手袋で吸収しながら乾かすことで、時間のかかるドライヤ―作業を時短できるというものです。

Step3:再構築
このインサイトはどのように獲得できたのでしょうか?「誰から」「どんな手法で」をそれぞれ書き出していきます。

誰から→髪が長い人、身支度を短時間でやりたい人、毛量が多い人、ペットの毛を早く乾かしたい人 etc…

どんな手法で→ドライヤーのアマゾン評価分析、SNSでヘアドライの困りごとを検索、美容院に困り事がないか聞く、ユーザーの行動を観察 etc…

上記で出したアイデアの中には、「ヘアドライの時間を短縮したい」という実際のインサイト以外にも、様々なバリエーションのインサイトを見つけることができました。

このように、リバースエンジニアリングの思考法に沿ってプロダクトを観察し、様々な仮説を立てながらインサイトを探ると、新たなイノベーションのアイデアが生まれるかも知れません。

リバースエンジニアリングを日常で実践していこう


イベント参加者の感想として「日用品でのワークは、シンプルだからこそ意外と気づかない本質的なインサイトに触れることができ、柔軟性を少し取り戻せたかと思います」「3つの視点があると全く知らなかったので、リバースエンジニアリングでなくても活かせそう」といった声がありました。満足度も「満足した」「少し満足した」方が100%だったので、今後の業務に何かしら活かしていただけたら嬉しいです!


リバースエンジニアリングは、理論よりも実践型で身につけるために有効な手法です。
ショッピング中やネットサーフィン中など、身近にある商品のイノベーションインサイトを探っていくと、今までは見えなかった新たな視点が見つかり、デザイン思考が深められるかもしれません。

デザイン思考を深めるためにも、繰り返し実践していくことで、思考探索をぜひクセづけてくださいね!

リコーでは組織全体でデザイン思考とアジャイルを取り入れた改革に挑戦中です。noteを読んでくださっている社内外の人たちと知見を交換できると大変嬉しいです。これからも、デザイン思考とアジャイルの実践現場から、みなさんの役に立つ情報をお届けしていきます。

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