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絵画の「対話型鑑賞」を通して自分軸を磨こう

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」運営チームです。

私たちは「リコーアジャイル」を全社に浸透させるため、デザイン思考やアジャイルの学習&実践の場として、セミナーやワークショップイベントを定期的に開催しています。
今回は「自分軸を鍛えるワークショップ 絵画でストーリーテリング」というイベントを開催しました。

このイベントでは一枚の絵画をじっくり観察し「何が描かれているのか?」「それはどこからわかるのか?」という絵画から読み取れる様々な情報を紡ぎ、再構成していく“対話型鑑賞”を行いました。


なぜ自分軸が重要なのか

これまでのビジネスシーンでは、チームや組織としての正しさや効率、そしていち早く正解に辿り着くことが重視されてきましたが、変化の大きいVUCA(※)時代に対峙していくには「自分の頭で考える力」が必要と言われています。

※VUCA…複雑で曖昧で変動が大きく不確実な状況のこと。社会において想定外の事象が発生し将来予測が困難な状態を表している言葉。https://ja.wikipedia.org/wiki/VUCA

今回のイベントでは、思考力・傾聴力・観察力・探求心などのビジネスに役立つ様々なスキルを磨き、他者の視点とも比較しながら「自分軸」を鍛えるワークショップを行いました。

対話型鑑賞とは?

Mihai Surdu from Unsplash

まずはじめに、対話型鑑賞とは何かを詳しくみていきましょう。

対話型鑑賞とは、1980年半ばにニューヨークの近代美術館MoMAで開発された、子供の美術教育目的のプログラムがベースとなっています。

美術鑑賞というと、通常は作品のタイトル・作者の情報を基に「いつ頃どういった背景で作品が生まれたのか」「作者のどのような心情を表しているのか」といった説明を読んだり聞いたりしながら、各自で静かに鑑賞する方法が思い浮かぶと思います。

これに対して対話型鑑賞は、純粋に作品そのものだけの情報から、その作品の印象や感じられることなど「自分ならではの受け取り方」を対話していきます。

メンバーやファシリテーターとの対話を通して他者との違いに気付いたり、自分自身との対話を通して自分なりのストーリーの組み立て方を学んだりと、様々な気付きを得ることができる鑑賞方法です。

対話型鑑賞は、作品そのものの知識を学ぶのではなく「見る人が主体的に作品に意味や価値を作り出す鑑賞方法」といえるでしょう。

対話型鑑賞で得られること

では、この鑑賞方法にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ハーバード大学による研究では「美術作品を見て考える力をつけると、生徒の学力や社会的なスキルも向上する」という結果が発表されています。

またイェール大学医学部大学院では、医学生の知覚力低下の解決法として対話型鑑賞を取り入れた『絵画鑑賞トレーニング』を開発しました。わずか2時間半のセッションで、症状を見極める目は受講しなかった学生と比較すると74%も高くなったそうです。

その教育効果が着目され、子供だけでなくビジネスマンのスキルアップ領域のトレーニングとしても役立てられています。

本もたくさん出版されています!

「今はまだ存在していない答えを自分で作り出す力」がますます重要になってくる現代、対話型鑑賞で育つ力はこれからのビジネスに必要な要素が詰まっているのです。

絵画をじっくりと「見る」、自分自身の主観で「考える」、他の人の話を「聴く」、それを相手に「話す」という大きく分けて4つの項目があり、これらを通して多様性への気付きを得たり、自分の意見を他者に伝えるための言語化能力を養うことができます。それが思考力・傾聴力・観察力・探求心へと繋がってゆくのです。

今回のようなグループでのワークショップでは、他者の意見から多様な視点や解釈の存在を発見できるので、より多くの人数で取り組むと無数の気付きが得られるかもしれません。

鑑賞して考え、ストーリーをつくってみよう

https://www.metmuseum.org/art/collection/search/436838

例えばこの絵画を鑑賞した時、どのようなことに気づくでしょうか。

例:
「服装がバラバラ。異なる仕事の女性たちではないか」
「真ん中の人にコインを渡している、その様子を皆がそれぞれ観察している」
「中心の人物は男性にも女性にも見える、この人がこの場を仕切っている」
「ピンクの服の人物の持ち物を、脇にいる人達が盗もうとしているように見える」

このような観察にもとづいて様々な事柄に気づき、そこからストーリーを組み立てていくワークを行います。それを参加者とシェアすることで、自分にはない視点や独自性、思考パターンに気がつくことができます。


自分軸を鍛える方法は、今回行った対話型鑑賞以外にも、マインドマップやマンダラートなどを書いて自分の思考や価値観を整理してみたり、わくわくすることに対して「何が楽しい?」「何が面白い?」などのメモをとる方法があります。

自分軸を鍛えることは、「物事を正しくとらえ、自ら考え、新しいものを生み出す力」になります

また、「自分は何にわくわくするのか」「自分にとって何が正しいか」という自分軸が明確になれば、働く喜びや自己実現にもつながります。ぜひ、日常で取り入れられる方法で自分軸強化を継続していってみてください。


イベント参加者からは

「他の方の意見を聞いて自分の思考パターンが見えた」
「個人的にはもっと背景に深く想いをめぐらせられるといいなと思った」
「1時間では足りないと感じるほど楽しいイベントだった。絵画だけではなく、写真や彫刻でもやってみたい」
「他者の見方や視点を知り、自分との違いに気付くよい経験になった。なかなかひとりではできないので大変貴重だった」

などの声をいただきました。

多くの方に参加いただくことで、たくさんの気付きやスキルアップにつながるヒントが得られていると実感しています。今後もたくさんの方とイベントやこのnoteを通して、さまざまな知見を交換できると大変嬉しいです。

リコーでは組織全体でデザイン思考とアジャイルを取り入れた改革に挑戦中です。noteを読んでくださっている社内外の人たちと知見を交換できると大変嬉しいです。
これからも、デザイン思考とアジャイルの実践現場から、みなさんの役に立つ情報をお届けしていきます。

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