「デザイン」「思考」を苦手に感じるあなたにこそ読んで欲しい、今すぐ誰でもできるデザイン思考の始め方
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「デザイン」「思考」を苦手に感じるあなたにこそ読んで欲しい、今すぐ誰でもできるデザイン思考の始め方

リコー みんなのデザイン思考とアジャイル

近年耳にすることが多くなった「デザイン思考(デザインシンキング)」、何となく知っているけどちょっと小難しい...と感じませんか?

デザイン思考について調べてみると、「デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉」「デザイン思考は実践的かつ創造的な問題解決もしくは解決の創造についての形式的方法」(引用:wikipedia)などと表現されています。

言いたいことはわかるけれど、ちょっと眉間にシワが寄ってしまう…。
同じような感覚をお持ちの方も、きっと多いのではないでしょうか。

そこで今回は、リコーのデザイン思考チームの3人に、「デザイン思考をすごく簡単に伝えるとしたら?」という質問を皮切りに、インタビューを実施してみました。

「デザイン」「思考」を苦手に感じる方も、ぜひ肩の力を抜いて読んでみてください。

結局のところ、デザイン思考ってなんだろう?

——デザイン思考そのものが意味することとその重要性はわかるけれど、なんだか踏み込みにくい…と感じる人が多いのではないかと思います。
デザイン思考とはいったいナニモノなのか、簡単に教えてもらえませんか?

森泉:そう感じる気持ち、すごくわかりますよ。私はデザイナーではないので、デザイン思考を知った当初は、「敷居が高そう」「なんだかちょっと怪しい」なんて思っていたのが正直なところですから(笑)。

森泉 香織の画像
▲森泉 香織(もりいずみ かおり)/デジタル戦略部 CSクリエイティブグループ
海外サービス部門にて海外向け複写機ユーザーマニュアル制作業務に携わり、その後もユーザーマニュアル企画、制作、制作システムの立ち上げなどに従事。子会社では戦略立案、業務改善、マネジメント業務にも携わる。2019年にデザイン部門へ異動し、デザイン思考を使った顧客体験の設計・推進活動、デザイン思考の浸透活動に従事している。

諸星:デザイナーにとってみれば、製品やサービスをデザインするなかで自然とやっていたことで、頭の中にいつの間にかインストールされたものでもあるんですが、そうしたデザイナーでさえも、「デザイン思考」はとっつきにくいと感じる人もいます。

だからこそ簡単にお伝えするのであれば、私は「いま見えてないものを『探索する』ための道具」なのかなと思っています。

諸星 博の画像
▲諸星 博(もろほし ひろし)/デジタル戦略部 カスタマーサクセスデザイン室長
総合デザインセンターにてコンシューマ向けプロダクトデザインを担当、香港を中心とした中国地域におけるカメラデザインに従事。新規事業を担当したのち、シリコンバレーに拠点を置く子会社のプロジェクトに参画。2013年より同子会社に出向し、北米向け新規事業探索についてデザイン思考を実践。帰国後カスタマーバリューデザイン室長を経て現・デジタル戦略部にてコーポレートカルチャーのデザインに取り組む。

諸星:僕はデザイン思考をお伝えするとき、いつも宇宙を想像してもらっています。

宇宙では、たくさんの塵が集結して個体になることで星を形成していますが、まだまだ形になっていない塵がたくさん存在しているんです。その塵を見つけにいくイメージなんです。

僕たちの仕事でも、日常でも、可視化や言語化ができないモヤモヤした何かってありますよね。そうした「表面化していない何か」や「見えていないものや価値」などを、認知するために使えるものなのかな、と。

奥田:それを教科書的に表現すると「顧客の潜在課題や欲求を探り、本人も気づかないようなWantを発見して、可視化・言語化して価値やアイデアを創造する…」という表現になる。だから小難しく感じてしまうんですよね。

奥田 龍生の画像
▲奥田 龍生(おくだ たつお)/デジタル戦略部 CSクリエイティブグループ
総合デザインセンターにて、複写機のデジタル化などオフィス機器デザインを約6年経験した後、カメラデザイン部署に異動。黎明期のデジタルカメラを担当し、数々の新製品開発に従事。マネージャとしてGRやGXなど人気シリーズの開発に貢献。PENTAX社とのカメラ事業統合時にもマネージャとして部門を率い、2018年頃からデザイン思考支援活動に携わり現在に至る。

奥田:いま見えてないものを探索していくには、その探索の過程のなかで、違和感や気になることを探し出す気持ちそのものが大事になってきます。

対象に対して好奇心を抱くとか、そもそもそれに気づくとか、自分自身の中に興味を沸かせる能力のようなものがすごく大切なんです。

極論、その探求の仕方というのは何でもよくて。

言うなれば、デザイン思考は、それを追求していくための情熱みたいなものだと思うんです。

森泉:チーム内ではよく、デザイン思考は、手法ではなくマインドというお話をしますよね。

仕事上で使われるものとなると、みなさん「〇〇をやったら〇〇ができるんだよね」と、手法的なところに意識が行きがちなんですが、実はそうではなくて。

人や社会の課題を解決に導くのに役立つ道具であり、マインド。そのマインドは、仕事で活きてくるのはもちろんのこと、日常生活でもどこでも使えるんです。

——デザイン思考に対するモヤモヤが少し薄れてきたような…。
では、デザイン思考というマインドを習得すると、私たちにどんないいことがあるんでしょうか?

諸星:考えること自体がきっと楽しくなりますよ。そうすると、自分のなかの未知なる可能性に気づけるかもしれません。

森泉:私は、完璧主義だった自分から脱却できました。以前は、完璧に作ってからじゃないと人に見せられないと思い込んでいたんですが、すぐに作って、見せて、直していけると、手戻りが少なくて効率的です。

ひとりで悶々とすることが少なくなりましたし、失敗してもヘコまないようになりましたね。

奥田:人の気持ちや行動を想像することが習慣になって行くので、人を思い量ることができるようになって、気が利くマメな人になれるんじゃないですかね(笑)。

小さなことが気にならなくなるし、日々の生活が楽しくなる!と言ってもいいかもしれませんね。

デザイン思考のファーストステップとポイント

——デザイン思考を身につけるといいことがありそうですね!簡単にはじめてみたいのですが、どんなことができますか?

諸星:デザイン思考について勉強を進めていくと、フレームワークが存在することが分かってきますが、そこで躓いてしまっては勿体無いです。

私がまずおすすめするのは、自分が「思ったこと」を「書き出してみる」こと。

それは、言語化でもいいし、絵でもいい。
大事なのは、表出化してみることだと思います。

奥田:私の場合は、日常生活で気になることやそこに感じた違和感、考えたことなどを、スマホにメモするようにしています。そういうものってすぐに忘れてしまうので、残しておくといいですよね。

諸星:時間と共に流れていってしまうものを、流してしまわないようにする。心の引っ掛かりだとか、うまくいかないなぁと思うようなことを、立ち止まって自己認識するのが、最初のステップとして重要です。

——その立ち止まり方が、奥田さんの場合はスマホにメモするということなんですね。

奥田:そうですね。あとはそれを印象付けるために、仕事仲間に話してみるとか、家族に話してみるのもいいと思います。自分だけじゃなく人の意見を聞くことで、思考が広まったり「なるほど」と思うような気づきを得られることも多いです。

森泉:私の場合は「壁打ち」と表現していますが、奥田さんがお話したように、人に聞くことはすごく重要だと思っていますし、私自身も意識的に実行していることです。

たとえば仕事で行き詰まった時、ひとりで悶々としていても解決できなかったり、解決できたとしてもすごく時間がかかってしまったりしますが、人に相談することで、気づきを得られたり素早く新たな糸口が見えたりします。

ですから、ひとりで取り組むのではなく仲間と取り組むことも大事。そういう意味でも、書き出してみて、それを人に聞いてみることはポイントになると思います。

諸星:森泉さんが言うように、書き出すことで他人が見えるようになって、意見をもらいやすくなるという連鎖がはじまります。まずは簡単でいいですし、どんな形でもいいので、表出化することをやってみて欲しいですね。

それがゆくゆくは、本質的なニーズを見つけることに繋がっていくはずです。

私とデザイン思考との出会い

シリコンバレーで目の当たりにした根本的なカルチャーの違い


——そういえば諸星さん、奥田さん、森泉さんは、どのようにデザイン思考と接点を持ち、なぜ担当者になったのですか?

諸星:私の場合は、2013年から2019年までシリコンバレーで経験してきたことが大きいです。

コンシューマ向けプロダクトデザインをしたいと新卒でリコーに入社し、カメラのデザインに約10年、医療機器やプロジェクターなど新規事業領域のデザインに数年携わったのち、シリコンバレーにあるリコーのR&D(リサーチアンドデベロップメント)関連子会社に出向しました。

そこでは北米向け新規事業のデザインに携わっていたのですが、当時はデザイン思考という言葉がなくとも、ごく自然に現場でデザイン思考が実践されていたんです。

とある医療サービスのデザインからローンチまでは250日。おそらく日本で実行していたら2〜3倍はかかっていただろうと思うのですが、プロジェクトがものすごいスピードで実行されていくし、ミーティングをやればアイデアは山のようにでるし、人が入れ替わってもスムーズに仕事が進む。
もう、驚きの連続でした。

「日本の親会社はジャッジが慎重すぎて機を逃す」と文句を言われていたほどです(笑)。

——デザイン思考を勉強せずとも、みなさん自然とできていたんですね。

諸星:そうなんです。それを不思議に思って子どもの学校教育を見てみると、そこには、アイディアを出すとものすごく称賛される環境や、多様な人種を受け入れられる基盤が見えてきました。

それを見たときに、企業単位の話ではなく、国単位での違いが非常に大きいことを痛感しました。ベースにあるカルチャーがが違うし、エネルギーの源泉が異なるんですよね。

そうしたカルチャーショックと6年の実体験とともに帰国してみると、日本のリコー社内でもデザイン思考浸透への動きが広がりつつありました。日本でもシリコンバレーのようなカルチャーを拡げたいという想いから、デザイン思考の浸透活動に携わり、カスタマーサクセスデザイン室長を務めています。

諸星 博の画像

あのカメラはデザイン思考で生まれていた!?

——奥田さんも、諸星さんと同じくカメラのデザインに携わっていたそうですね。

奥田:そうですね。私の場合は、入社してすぐに担当したのがデジタル複写機のデザインで、ちょうどアナログからデジタルへの変革期でした。8年ほどオフィス機器デザインに携わった後、念願叶ってカメラのデザイン部門に異動。またもやデジタルへの変革を迎えていた黎明期のデジタルカメラを担当しました。

そのなかで、「GR」「GX」など人気シリーズの開発に携わってきましたが、いろいろな試行錯誤と失敗を重ね、次製品への気づきを得ていたことを思い返すと、GRはデザイン思考によって生まれたのではないかと思うのです。

——そうなんですね!どのようにGRを世に送り出したのですか?

奥田:それまで開発してきたデジカメを振り返り、「自分たちがいいと思うものを作るのも大事だけど、もっとお客さんの意見を聞かなきゃダメだよね」という思想から、多くのユーザーとカメラマンに取材を重ねたんです。

その過程で、プロカメラマンは「仕事の写真を一眼レフではなく、コンパクトカメラでスナップとして撮りたい時もある」という意見から、プロが使うサブカメラというコンセプトが見えてきました。

デザイナーだけじゃなく、企画の人も販売の人もみんな一緒になって調査して、何度もコンセプトモデルの試作を重ねて発売したのがGRでした。

——まさに、デザイン思考的なプロセスですね!

奥田:はい。その後も発売する製品、デザインともに好評で、業績にも大きく貢献しました。デザインが売り上げに直結するのを、身を持って体験していました。

その後は武田さんがおっしゃっていたように、デザイナーが新規事業に参画するようになった頃から私もデザイン思考を学び、いまに至ります。

奥田 龍生の画像

長年携わった業務改善のヒントが見えた

——森泉さんはノンデザイナーとのことでしたから、きっとお二人とは違った経緯でデザイン思考に関わっていらっしゃるんですよね。

森泉:そうですね。私の場合、英語を使う部署で仕事をしたいと希望をして海外サービス部門に配属され、海外向け複写機ユーザーマニュアル制作に関わっていました。

それ以降、部門変遷や子会社への異動をしながらも、一貫してマニュアル関連業務に携わってきたのですが、マネジメント領域の仕事ではなくプレイヤーとして仕事がしたいと思うようになったことで、キャリアチェンジ。2019年に出向元のデザイン部門へ異動したのが、デザイン思考との最初の接点です。そこから学びと実践を開始しました。

——冒頭で、デザイン思考は敷居が高そうに感じたというエピソードがありましたね。

森泉:デザイン思考への第一印象はそうでしたね。とりあえずは、デザイナーの人がいいって言うんだし「なんだか、よくわからないけど、とにかくやってみよう」という感じでのスタートでした。

本を読んだりワークショップに参加したりしながら少しずつ学んでいたんですが、ある時「これはいいかも!」とピンときた瞬間があって。

それは、カスタマージャーニーマップを作って顧客の潜在ニーズを見つけるワークをやってみた時だったんですが、過去のマニュアル制作時に感じていた「助けるためのマニュアルなのに、なんとなくかゆいところに手が届いていない感」解決へのヒントが、見えてきたんです。

こうすれば潜在ニーズがわかるのか!しかもそんなに難しくない!20年近く携わった業務に対するヒントが、デザイン思考によって見えてきたのは、目から鱗でした。

リコーの社員は、お客様の声を聞くことに、とても真剣に取り組んでいます。お客様の声を聞こうと頑張っているのに、なんだかうまくいかないモヤモヤを抱えている人は少なくないと思います。そうした方にこそ、ぜひ取り入れてみて欲しい、困っている人の助けになりたいと思いながら、現在ワークショップの企画・設計・実施などを行っています。

「デザイン思考」という名にとらわれない、リコーらしい活動を

——最後に、みなさんの思いの丈を聞かせてください。

諸星:北米での体験と対比して考えてみると、生まれ育った日本での生活は楽だなと思う一方で、気持ち的に窮屈に感じてしまうことも多いんです。

当時から北米では当たり前だったジョブ中心の世界が日本にも導入されはじめていますが、その定着には、やっぱり土台となるカルチャーが重要です。

カジュアルに意見交換して新しい価値の増大を連鎖的に始めるのが、これから開始するコミュニティ活動のイメージでもあるので、少しでもそうしたエッセンスを取り入れた活動ができればと思いますし、カルチャー浸透の仕掛けを作っていきたいと思います。

奥田:リコーが目指しているのは、社内でデザイン思考やアジャイルが当たり前のことになり、意識しなくとも文化風土として根付いている状態なんですよね。究極的には、私たちの浸透活動自体がなくなることでもあります。

それにはまず、一人ひとりに興味を持ってもらうことからのスタートです。

デザイン思考は、デザイナーがモノを創造するプロセスそのものなはずですが、当初は、デザイナーがあたりまえにやっていることを誰もが分かるように体系化することが、まどろっこしく感じていました。

その経験から、デザイン思考に苦手意識を持つ方の気持ちがよくわかるので、自分の経験を少しでも活かしていきたいと思います。

森泉:私も自分の経験やデザイナーではないバックグラウンドを大切にしながら活動していきたいですね。
私と同じように、リコーにいるのは一般的なビジネスパーソンがほとんどですから、初めて取り組んだ時の感覚や、自分がつまずいた経験が誰かの役に立てば嬉しいなと思っています。

実は、社内アンケートを実施してみると、「デザイン思考という言葉そのものが苦手です」という意見をもらうこともあるんです。

確かに、言葉自体がどこか硬い印象だし、デザインという言葉が表す意味が日本で一般的に使われて理解されているデザインと異なるので、どうもスッと入ってこないんですよね。

デザイン思考という言葉に対してハードルの高さを感じてしまう人がいることは事実だと思うので、そうした意見にも寄り添えたらなと思います。

奥田:リコーのみんながデザイン思考を当たり前に実践できることがゴールなので、言葉自体がハードルになるのであれば、馴染みやすい言葉に変えて伝えていくのも、私たちに課された課題かもしれませんね。

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来週は、アジャイルについてのインタビューをお届けする予定です!
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