見出し画像

【2023年振り返り】誰にありがとうと言ってもらうための活動か? デザイン思考とアジャイルを伝える私たちが自ら行ってきた壮大な実験

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」運営チームです。

2023年も残すところあと少し。
私たちチームは、約2年前から文化風土改革という大きなテーマに取り組み始め、今年も紆余曲折、悲喜交々がありながらもたくさんの挑戦を続けてきました。

そこで今回はチーム全員で今年を振り返り、成長できたことやこれからの課題、伝えていきたいことなどを対談形式でお話ししていきたいと思います!

12月のある日、久しぶりにリアルで集まりました!

リコーの組織課題解決のため、それぞれが奔走した1年


ーまず、今年1年を振り返ってどうでしたか?

林:方針転換によって考え方や価値観が変化していく中での悩みや迷いはありつつも、組織運営にデザイン思考とアジャイルの考え方と手法を浸透させるため、実践したい組織・チームへの伴走支援やワークショップなど、現場で困りごとがある人達のために取り組んできたというところは一貫してブレていなかったと思います。やるべきことをしっかりとやれた1年でした。

来年も引き続き、課題や悩みがある組織・チームに、デザイン思考とアジャイルを使って解決に携わっていけたらと思っています。

大関:まずは「リコー版インセプションデッキ」という、実際にチーム内で使ってもらえる対話用のテンプレート作成から始まりました。当初はとにかく「あれもこれもやりたい」と話していたんですが、実際にやってみないとわからないということで、2月頃からさっそく組織・チームへの支援が始まりました。

私個人としても伴走支援に没頭したいと考えていたのですが、準備段階で流れてしまうものもあったりして、結局最後まで完走できたものは半分くらいですかね。あと倍くらいはいけたんじゃないかなっていうもったいなさは感じつつも、少なからず私たちの取り組みを一緒に実践してもらえる方がいてくださったのが、すごくありがたかったなと思っています

4月以降はさらに拡大を目指して、デザイン思考とアジャイルを組織で実践するためのテンプレートを60件以上配布してきました。多くの人に触れていただくことはできましたが、その分“薄く広く”なってしまっているところが課題に感じているので、今後はもっと“厚く広く”やれるようにしていきたいと思っています。

辻原:成し遂げたことはいっぱいあって、着実に実績になってきている一方で、何かひとつに注力して集中的に頑張れたかというと、そうではないことが課題だなと思っています。優先順位がつけられなかったわけではなくて、全方位で優先順位が高かった感じですね。

また、もう一つの課題としては、検討している時間が結構長いので、実行と検討のバランスをとっていきたいですね。

林:確かにやってきたことはいっぱいあるけど、自慢できる成果を一つ挙げるとしたら…難しいですね。

私たちはスタートアップに近いマインドでやっていて、お客様の課題に対してピンポイントで素早く解決法を提供していくことが大事だと思っています。そこの選択と集中ができていなかったというか、少し迷いが出てしまったかなっていう反省点はあります。今後は「ここだ」っていう自分たちの軸を決めて、そこに対して特に力を入れてやっていきたいなと思っています。

辻原:でも、やるべきことがいっぱいあったということは、それだけ組織の中で必要とされてたんだっていう観点で考えると、いいことだったような気もしますね。
このチームは去年立ち上がったばかりなのもありまだ検証フェーズではあるので、成果を追求するにはもっとたくさん実験する場が必要かなって思っています。

室井:私は今年の初めぐらいに、リコーアジャイルのコンセプトガイドの作成に携わったことが印象的でした。いわゆる経典みたいなものをまとめる役割だと思っていたら、途中で方向性が変わってきて。結局、国内のリコーグループの社員3万人以上の方に受講してもらう必修の研修になりました(笑)。

この研修はおかげさまで95%ぐらいの人に受講を完了してもらって、この数字からも影響力が大きかったのかなって感じています。

本美:私は今年異動になったので、デザイン思考とアジャイルについての知識は当初は素人に毛が生えたレベルでした。最初の3ヶ月くらいでインプットして、その後はデジタルアカデミーのワークショップ、伴走支援、組織職(リーダー)向け研修の講師など…いろんな事をやらせてもらいました。

いきなり講師をやらせてもらうことになって、もちろん辛いことや課題もたくさんありました。でも座学よりも実践で相対させてもらいながらフィードバックをもらうことができたことが貴重な経験になりましたし、大きく成長できたなと思っています。

さらに、デザイン思考とアジャイルを会社の中で浸透させるための指標を慶應SDMと一緒に検討したり、みんデジャのイベントをやったり、noteを書いたり…個人的にはお腹いっぱいな1年でした(笑)個人的に嬉しかったこととしては、私はつくる〜む」っていう別の活動もやっているのですが、チームの活動との接続部分も持てるようになったことですね。

※リコー内メイカースペース「つくる~む海老名」とは
つくる~む海老名は、3Dプリンター・レーザーカッター・カッティングマシンなどを筆頭に、各種機材や工具を取り揃えた社内のものづくりFabスペースです。
手を動かしながら考える社員を増やし、イノベーションを創出できるマインドを醸成することを目指し、2020年より活動しています。

亀元:私はイベント運営に注力していますが、イベントはやることが最終的な目的ではなく、そこに集まってきた人達の意識を変えることが目的だと思っています。
最初はただただ「やらなきゃ」っていう意識だったんですが、今は「目的を達成するためのイベント内容ってどんなものだろう?」っていうことが考えられるようになってきたと思ってます。

武田:
個人的には、たくさんの価値創出を目的としたワークショップを設計し、ファシリテーションを実施しました。でも期待通りに終わることはあまりないですね。これなら無理なくできるだろうと考えて設計したワークでも、人によっては飛躍が大きく、うまく表出できないことが多々あります。ワークショップのUX(ユーザー体験)という視点が改めて大切だと感じています。自分の得意パターンから支援先の課題感に応じてカスタマイズできるようになりたいと思います。

悩んだ時に頼れる「しがらみのない味方」でありたい

ー来年に向けて、社員の皆さんに伝えていきたいことは?

林:我々がやっていることって、例えば組織の中で目標を作って共通認識を持てるようにしたり、組織の改善点と個人の改善点を洗い出したり、要はもっと楽に、価値のある仕事ができるようにするための考え方を伝えようとしています。しかし、今は「デザイン思考とアジャイル」っていう言葉が先に立ちすぎていて、その言葉だけで苦手意識を感じて避けてしまう方も多いのかもしれないなと思っています。

例えば、チームや組織でうまくいかないとか、会話が少ないとか色々な悩みが出てきた時に、活動の振り返りをしたり目標の共通認識を持ったりということをチームビルディングとしてやってみるのもすごくいいと思うので、ぜひ「1回試してみようかな」っていう気持ちで気軽に触れていただけると嬉しいです。

もちろん我々は組織活動の中にデザイン思考とアジャイルを普及させたい想いでどんどん情報を発信したりしてるんですけど、押し売りだったり聞き慣れない言葉で拒否感があるものにはしたくないなと思っていて。もっと受け入れられやすいような形になるようにデザイン思考とかアジャイルっていう切り口も含めて言葉の使い方は改善していきたいと考えているところです。

大関:私はぜひ、チームの中でもっと対話をしてほしいと思っています。皆さんに相談をいただく内容の中には、マネージャーとメンバーとの間で課題や目標の認識に乖離があることがよくあるんです。
私自身もこのチームになってから、技術系の部門にいた時と比べて、特に組織の方針や方向性について議論や対話をする機会が増えたのですが、会議の場でみんなで議論をしたり、ただ聞いてるだけじゃなく対話する機会が増えると、そこから考える時間が増えて意識も変わってくるんじゃないかなって思います。

武田:私たちのチームは特殊なことをやってるわけではなくて、チームワークするために、普遍的なコミュニケーションのやり方を延々とお伝えしてるだけなのですが、普遍的なことは「継続」が難しい。だから、それを習慣にするためのリズムを生み出す支援をしていることを知ってほしいと思います。

本美:私が伝えたいのは、おそらく皆さんが思っているよりも、支援先の皆さんの組織やチームをどう良くできるかっていうのを、メンバーがたくさん考えているっていうことです。

「こういうワークショップの設計があのチームにとってはいいんじゃないか」とか、たくさん議論しながらすごく考えてるんです。小手先ではなく、本当に愛を持って対応してると思います。だから、困っていることがあれば安心して支援依頼をしてほしいですね(笑)

林:本当にそうですよね。私たちは皆さんにとってしがらみのない味方だと思います。上司と部下っていう関係になると、どうしても利害関係があって弱みを見せられなかったり、身内だからこそ話せないこともあると思うんですけど、私たちのような第三者的な立場の人が入ることでスムーズに会話ができますし、客観的な目線で課題やアイデアを発見できると思うんですよね。

安心して相談ができる味方というか、頼れる存在としてうまく使ってもらえたらいいなと思います。

大関:気にせず愚痴も聞いてくれて、反応を見ながら今後の方向を示唆してくれるっていう占い師みたいなポジションでありたいですね(笑)
 

自らが壮大な実験台として効果を実感し、活動に自信を持てた1年


辻原:
さっき「いろいろたくさんやったよね」っていう話をしたんですけど、それでもみんなが何をしているのかが分かったり、繋ぐべきところがすぐに分かったりするのって、やっぱりアジャイルの力だと思うんですよ。

具体的にどういうことをやっていたかというと、例えば今日のタスク・スタックしてること・昨日新たに生まれた課題みたいなところをシェアし合うデイリースクラムっていうのを毎朝15分続けていたり、Miroを使いながら定例をやる時も、大目的に都度戻りながら話していくというところを重点的にやってきました。

今回の座談会でもMiroが大活躍でした

その結果、目的に対する意識がチームの中でブレないようになったと思います。

「なぜやらなければならないのか」っていうところから、個人がそれぞれ「何をやるのか」っていうのを常にちゃんとわかってる状態。これによってものすごいパワーを発揮できるんだなと実感していますし、だからこそこの少人数で大きな仕事ができているのだと思います。私自身も一番効果を感じていてすごいなって思うところです。

模索の中ではありましたが、効果を感じつつ成果も出してこれましたし、会社の中でもいい実験台になれたんじゃないかなと思っています。私たち自身が壮大な実験だったなって(笑)。

林:この少人数でここまでやれたのはすごいなって僕も思います。今、自分たち自身がデザイン思考やアジャイルを実践できているのかと問われたら、自信をもって「できている」と答えられますね。実践しているからこそ、ワークをやる時の構成なども深くアドバイスができるようになりました。

この1年で環境や状況の変化もたくさんありましたが、それに対してもすぐに適応していくことができるようになっているなと思っています。

本美:私も同じようなことを思いました。自分たちがまさに外部環境変化への適応事例のひとつだなって

大関:自分自身が実践しているからこそ、どの部分に時間がかかるのか、どこまでやるべきかっていうさじ加減が理解できるようになりましたね。やっぱり仮説検証は実際にやることが大事だなって思いました。

武田:昨年の下期に今につながる組織ができて、やっと一年あまりですが、初期の何をしたらいいかわからない状況から、活動が大きく広がったことが感慨深いです。まだまだ社内で知られているとは言えませんが、メンバーが自律的に、スピード感をもって一気に支援先を拡げていく、コミットの強さは純粋にスゴイなと思います。

辻原:私たちが手がけているのは文化風土改革という領域なので、何かがすぐに跳ね返ってくるというよりは、継続した先にじわりじわりと効いてくるものだと思うんですよね。
​​
私たち自身がリコーのデザイン思考とアジャイルを試してきた感想としては、同じ手法で新規事業もやれるんじゃないかっていうぐらい、模索して新しいものを作っていくことに対して手応えと自信を感じています。

室井:もちろん「リコーアジャイルの浸透」が我々の使命であって、これからも続けていくことではあるのですが、ただそれと同時に、私たちの使命感だけが先走らないように気をつけていきたいと思っています。私が色々な経験をしてきて思うのは、まずはお客さんの望んでいることは何か、声を聞くことが大事だなって。

林:そうですね。我々の場合のお客さんって社内の組織なんですけど、まずは何が課題なのかを聞いて、その解決法としてデザイン思考とアジャイルを提案していくっていう形にするとバイアスがなくなっていくのかなって思います。

辻原:つい便利だからって、特殊な概念に名前を付けて売ろうとしちゃうっていうところは気をつけないといけないなって思いました。

「リコーアジャイル」っていう商品が欲しい人なんてたぶん1人もいない。それによってどんな便益がもたらされるのかっていうところを伝えていかないといけないんですが、もしかしたらその名前にかまけてたのかもしれないなって。そこはもっと愛を持って伝えていかないといけないですね。

今日皆さんのお話を聞いて、誰に「ありがとう」って言ってもらうの?っていうところがやっぱりすごい大事だなって、改めて思いました
デザイン思考の最初のステップは「共感」じゃないですか。それと同じで、共感する相手をしっかりと見続けないといけないですね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。私たちの活動について、少しでも理解をしていただけていたら嬉しいです。

私たち「みんなのデザイン思考とアジャイル」運営チームは、社内の希望する組織には実践に関する相談・支援を実施しています。

「テンプレートを使ってみたい」というライトな相談から、「自組織の課題について相談したい」「デザイン思考を活用したワークショップの企画・実施スキルをつけたい」など、大小さまざまな相談を受け付けていますので、ぜひお問い合わせください!

***

今年も大変お世話になりました。
リコーでは組織全体でデザイン思考とアジャイルを取り入れた改革に挑戦中です。noteを読んでくださっている社内外の人たちと知見を交換できると大変嬉しいです。
これからも、デザイン思考とアジャイルの実践現場から、みなさんの役に立つ情報をお届けしていきます。

このnoteが参考になった!また読みたい!と思ってくださる方は、ぜひログインしなくても応援を送れる「スキ!」を押してくださいね。

今年も一年、ありがとうございました!来年もどうぞよろしくお願いいたします。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!