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わかってるようで、わからない。はたらく環境と創造性の関係を探索する、実践型研究所 3Lの正体

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」をリコーで運営している武田です。
以前、リコーの謎施設「BIL Tokyo」についてご紹介しましたが、今回はリコー本社近くの馬込にある「3L(サンエル)」についてご紹介します。


3Lができた背景は「組織の変革」

3Lは、リコー本社近くにあった古い研修施設を全面的にリノベーションして生まれた施設で、2020年にオープンしました。

この「みんなのデザイン思考とアジャイル」の活動と同様に、その背景・出発地点は、既存事業に大きく依存し、縦割りで硬直した組織体質を変えていくことがあります。

他の多くの大企業もそうであるように、リコーもまた創業時はベンチャー企業であり、数々の危機を乗り越え、成長してきた歴史があります。しかしベンチャー気質に溢れた創業メンバーが去り、徐々にダイナミズムが失われていくこともまた、大企業がたどる道でもあります。 

3Lは、創業者市村清の自宅(現在は市村清新技術財団の施設)に隣接し、創業時のダイナミズムを取り戻すことを目指して作られた、象徴的な施設です。

3L公式ホームページ
https://www.3l.ricoh/

3Lが目指す地点

“はたらく”の実践型研究所、3L(サンエル)ー

リコーグループゆかりの地の施設を全面的にリファインして生まれた新たな聖地、3L(サンエル)。
3Lは、新たな価値を生み出そうとする全ての挑戦者が繋がり、ひとりひとりの“はたらく”歓びを追求しながら、チームの創造性を加速させる実践型研究所です。

この紹介文にあるように、3Lは、リアルに会うことの意味を問い直し、創造性を高めるはたらき方の研究施設です。

3Lの開設プロジェクトはコロナ以前に始まったのですが、オープンしたのはコロナの真っ只中。想像していたよりずっと静かなスタートになりました。コロナの中で「会う」ということの意味を多くの人が深く考え、問い直した今、この研究施設の存在価値や意味がいっそう際立って来ていると思います。

研究所としての3L


3Lの目的は、ここに集う人々のコミュニケーションを最大化し、その創造性を刺激し、その過程を研究すること
です。そのためには、いわゆる創造的で意欲的と言えるチームがどのように働いているか観察し、データ化する必要があります。

そのため3Lはリコーのアクセラレータプログラムである「TRIBUS」から生まれた社内起業家チームに活動拠点を提供し、新規事業を実践する彼らの日々の活動をセンシングし、データ化しています。

館内ではウェアラブルデバイスを装着することで、いま誰が館内にいるのか、誰と話しているのか、どう過ごしているかを知ることができます。
会議中の発話量などもリアルタイムで可視化され、チームがどのような時間を過ごしたのかを振り返ることが可能です。

部屋に入ると自動的に照明が付いたり、その人にあった最適な温度の空調制御を行うなど、ストレスを感じさせない自然な誘導が、日々のチームの活動を活性化させます。

また、個人と個人の関係性をリアルタイムで可視化し、館内に設置されたスクリーンで目にすることで、個人やチームのはたらき方に気づきを与えています。

新しい”はたらく”の一日
https://www.3l.ricoh/experience/

このように紹介すると、テクノロジーまみれの「研究室」のような空間を想像してしまいますが、館内は非常に落ち着いた雰囲気です。テクノロジーはうまく空間に溶け込み、自然に存在し、日々の過ごし方をサポートしてくれています。

3Lの施設


3Lは、洗練されたデザイン家具や植栽をはじめ、集中して議論を交わすことのできる会議室、プロトタイピングを実現するラボ、偶然の出会いをうながすカフェ&バーなど、個人が快適にワークを行うだけではなく、それらが連続して繋がっていくことで、生産性だけではない、チームの創造性が発揮される場所になることを目的に設計されています。

ファシリティとしては以下のようなスペースがゆるやかに繋がっています。

Bar Lifework

ラウンジに併設されたバーでは、夜な夜ないろいろなチームが集い、飲み物を片手に熱い議論がかわされます。たまにバーテンダーが立ち、お酒を振る舞ってくれます。

Lab

何かを思いついたらすぐに形にできるように、ラボには工具やレーザーカッター、3Dプリンターなどが一揃いあり、ハードウェアのプロトタイピングによく利用されています。もともとは研修所のお風呂場だったこともあり、一部に当時のタイルが残っています。

RICOH PRISM

RICOH PRISMは、チームの創造的な「気持ち」を高める、まったく新しい空間です。リコーの「”はたらく”に歓びを」を実現するための創造性創発価値プロトタイプの第一弾として3Lで生まれました。

これまでの仕事に求められてきた生産性の追求が高いレベルで一般化した未来においては、新たに求められる一番の価値は創造性であると考え、チームでの限りない創造性を引き出すためにつくられた専用の空間です。

この空間では光がチームの感情や考えを映し出し、その時々にぴったりの音がムードを盛り上げます。香りや触感まで駆使した緻密な空間演出が脳細胞を刺激し、一人一人の想像力を高め、集団としての創造力を拡張します。

BOX

元体育館に設置された不定形の起伏ある丘は、チームがまるでキャンプをするようなイメージで、日々のミーティングを行うことができます。別棟からも活動の様子が一望できるこの大きな空間は、ピッチイベントやワークショップなど、チームが社会価値を生み出すような重要なプロジェクトを成し遂げるために必要な活動のために用意されています。

Art

チームの創造性を開放するために、3Lでは自然やアートを感じながらリラックスできる心地よい空間があります。BOX横にある巨大な壁画もそのひとつです。反射板によってキラキラと輝く光は、様々な個性を見せる人間にとりひとりの輝きを象徴しています。そしてそれらが線によって繋がることで、チームとして起源から未来をつないでいく様を表現しています。聖地の象徴としての時空をつなぐアートが、見る人の感性を刺激します。

CABIN

一定期間、貸切ることも可能なプロジェクトルームで、自由に使うことができます。その様子はBOXから眺めることができて、活動の様子、賑わいが可視化されています。 

Shower Room

BOXはリコー卓球部の練習拠点でもあるので、選手のためのシャワールームもあります。

私が感じる3Lの魅力


3Lには、創造性を高めると言われている機能が大方揃っています。それらが組み合わさることで、快適に働ける環境を作り出します。さらに、その見た目や機能だけでは伝わらない意味も感じています。

自分の主な業務・ミッションを3Lで行う人、別の通常業務を抱えながら3Lでプロジェクトに参加する人、イベントでたまたま来る人など、様々なタイプの人が3Lにやってきます。
3Lはどの事業部門・事業所にも所属せず、地理的にも組織的にも独立した運営をしているため、来館した人が、どんな立場や所属、何を目的としていても、それぞれが「自由さ」を感じ、フラットな関係で交流が促されるのです。
この「自由」という特殊性こそが、3Lが創造性を加速させるための施設としての大切な基礎にあり、機能していると感じています。

まだ行ったことのないリコーグループ社員の皆さんは、ぜひ一度は行ってみてください。

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リコーでは組織全体でデザイン思考とアジャイルを取り入れた改革に挑戦中です。noteを読んでくださっている社内外の人たちと知見を交換できると大変嬉しいです。
これからも、デザイン思考とアジャイルの実践現場から、みなさんの役に立つ情報をお届けしていきます。

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