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これを知っておけばアジャイル現場も怖くない!【アジャイル用語集〜スクラム編〜】

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」をリコーで運営している永田です。

リコーのDX現場でアジャイルを推進しているように、昨今ソフトウェア開発以外でも活用され始めているアジャイルですが、アジャイルを表現する用語には聞き慣れない言葉や横文字が多く、なかなか理解しづらいのではないかと思います。

そこで今回フォーカスするのは、アジャイル開発手法の1つであり最も代表的な「スクラム」に関する用語です。

実際に、スクラムをソフトウェア開発以外の業務にも適用しようという流れがあり、リコーにおける「アジャイルな仕事の仕方」でもスクラムの考え方をベースにしています。

このnoteでは、アジャイル初心者の方がアジャイルの現場に急遽参加することになっても「これを知っておけば怖くない!」という用語を、スクラムの全体図とともに解説し、まとめてみました。

「アジャイルの現場で行き交う言葉に戸惑っている…」という方はもちろんのこと、これからソフトウェア開発以外の業務で「アジャイルに取り組もう!」と考えている方の参考になればと思います。


「スクラム」とは?

スクラムは、「チームで仕事をするためのフレームワーク」です。決められた短い期間で計画、タスク実施、レビュー、ふりかえりを行い、それらを繰り返していくのが特徴です。「チームで素早くPDCAを繰り返す」と捉えると理解しやすいかもしれません。

もともとはソフトウェア開発プロジェクトで用いられるアジャイル開発手法の1つですが、新規事業開発や営業などソフトウェア開発以外の複雑な問題を扱うプロジェクトでも適用されるようになってきています。

スクラムの概要を示したものが以下の図です。スクラムには3つの役割、5つのイベント、3つの作成物があります。役割、イベント、作成物それぞれの領域に分けて、用語について説明していきます。

スクラムの概要図
スクラムの「3つの役割」「5つのイベント」「3つの作成物」


「役割」に関する用語

スクラムの基本単位は3〜10人のチームです。スクラムチームはプロダクトオーナー1人、スクラムマスター1人、複数人の開発者(メンバー)で構成されます。それぞれの役割について見ていきましょう。

①プロダクトオーナー

スクラムのプロダクトオーナー

プロダクトオーナーは、チームから⽣み出されるプロダクト(成果)の価値を最⼤化するための責任者です。ユーザーや顧客に提供する価値を記載したプロダクトバックログの作成と、その優先順位付けの最終責任を持ちます。

スクラムでは、合議制での意思決定ではなく、プロダクトオーナーの判断で意思決定します。
組織やチームにスクラムを適用する場合は、組織長やチーム長がプロダクトオーナーとなり、組織やチームのミッションや課題の策定に関する議論を主導し、取り組む課題や施策の優先順位や実現方法などに対する意思決定を行います。

②スクラムマスター

スクラムマスター

スクラムマスターは、チームの仕事が円滑に進むようにし、チームメンバーの能力を十分に発揮できるようにサポートします。チームが仕事を進める上で障害となるものを取り除いて問題を解決できるように動きます。

スクラムが前提としている価値観、実践にあたって必要な振る舞い、方法についてレクチャーやコーチングを行います。また、スプリントプランニングやデイリースクラムなどの各種イベントの進行役を務めます。
スクラムマスターはプロジェクトマネージャーと違い、タスク管理やスケジュール管理は行いません。

③開発者(メンバー)

開発者(メンバー)は、プロダクトオーナーが決めたバックログに従い、実際に開発を行ったり、タスクを実施したりする人たちのことです。プロダクトオーナー、スクラムマスター以外のメンバー全員が該当します。

ソフトウェア開発以外のプロジェクトの場合は、開発者以外のメンバーもいるため、単にプロジェクトチームのメンバーと捉えることができます。


「イベント」に関する用語

スクラムでは、「スプリント」と呼ばれる短い周期で5つのイベント(打合せなど)を実施していきます。まずはスプリントについて説明し、その後5つのイベントについて説明していきます。

スプリント

スクラムでは、短い期間に区切って開発などの仕事を行います。この区切った1つの期間のことをスプリントと呼びます。PDCAを1周回す期間と捉えることもできます。

スプリントと似た用語に「イテレーション」がありますが、短期間に開発工程を繰り返す区切った1つの期間のことで、開発においてはスプリントと同じ意味です。アジャイル開発の手法であるXP(エクストリームプログラミング)で使われる用語です。

スプリントの期間の長さは短くて1週間、長くて4週間で設定され、途中で長くしたり短くしたりしません。たとえスプリントの作業がすべて完了していなくてもスプリントは延長せず終了します。一定の周期を繰り返すことで、チームにリズムが生まれます。

①スプリントプランニング

スプリントプランニング

スプリントプランニングは、スプリントで何をどのように開発するか計画を立てるためのミーティングです。スプリントの開始時に実施し、PDCAのPlanの部分と捉えることができます。

スプリントプランニングにはチームメンバー全員が参加し、今回のスプリントで完成させる作業リスト(プロダクトバックログ)の項目を選択します。プロダクトオーナーは事前に作業リストを優先順に並べておき、優先順位が上位のものから選択していきます。それぞれの項目の見積りやチームの過去の実績、今回のスプリントで使える時間などを考慮して選択します。

選択し終えたら、選択した項目をどう実現するかについて作業計画を立てます。個々の作業は一日以内で終わるように分割し、項目と分割した作業をリスト(スプリントバックログ)に積みます。

ソフトウェア開発以外のプロジェクトにおいても、取り組む課題やタスクを選択し、達成するための作業に分解するのは変わりません。

②デイリースクラム

デイリースクラムはいわゆる「朝会」です。毎日、同じ時間、同じ場所にチームメンバーで集まって、15分ほどで作業進捗や問題の有無を確認します。

デイリースクラムでは問題解決のための議論は行わず、必要な場合は別途会議を設定します。

③スプリントレビュー

スプリントレビュー

スプリントの最後にスプリントの成果物をレビューするミーティングを開催します。これをスプリントレビューと呼び、PDCAのCheckの部分と捉えることができます。

スプリントレビューには必要なステークホルダー(利害関係者)に参加してもらい、プロダクト(成果物)に対するフィードバックを得るのが目的です。

スプリントレビューでは、完成した項目をデモンストレーションしたり、実際に触ってもらったりします。完成しなかった項目はデモンストレーションしません。その他、完成しなかった項目について説明したり、直面した問題点などについて議論したりします。スプリントレビューで議論した内容は、必要に応じてリスト(プロダクトバックログ)に反映します。

ソフトウェア開発においては、開発したアプリをレビューしますが、開発以外では作成した資料など各タスクの成果物をレビューすることになります。

④スプリントレトロスペクティブ

スプリントレトロスペクティブ

スプリントレトロスペクティブはいわゆる「ふりかえり」です。スプリントレビューのあとに実施し、PDCAのActionの部分と捉えることができます。

スプリントで、何がうまくいったのか、それらを継続するためにどうすればよいのか、どのような問題が発生したのか、それを解決するにはどうすればよいのかについて話し合い、次のスプリントでもっとうまく仕事を進められるように検討します。具体的なふりかえり手法について決まりはありませんが、KPT(Keep・Problem・Tryの3つからなるフレームワーク)がよく使われます。

⑤リファインメント

リファインメントは、スプリントプランニングの準備にあたります。

作業リスト(プロダクトバックログ)の優先順位が上位の項目を具体化および扱えるサイズに分割したり、疑問点を解消したり、何ができたら完了なのかを明らかにしたり、見積りを行ったりします。これらを実施しておくことで、スプリントプランニングをスムーズに実施することができます。


「作成物」に関する用語

スクラムにおける作成物はプロダクトバックログ、スプリントバックログ、インクリメントの3つがあります。以下、それぞれ説明します。

①プロダクトバックログ

プロダクトバックログ

プロダクトバックログは、機能や要求、要望などチームが行う作業を優先順に並べたリストです。プロダクトバックログは、プロダクトにつき1つ作成します。

プロダクトバックログの項目の順番はその項目が実現されたときに得られる価値やリスク、必要性などによってプロダクトオーナーが決定します。優先順位の高い項目ほどタスクレベルに分解し詳細化し、優先順位の低いものはざっくり曖昧な状態としておきます。

その理由は、プロダクトバックログは、ビジネス要求、市場、技術の変化などによって常に変化するため、優先順位の低い項目をがんばって詳細化しても実施しない可能性があるからです。

ソフトウェア開発プロジェクトにおいては、機能や要求、バグ修正などの項目をプロダクトバックログとしてリスト化します。
一方、ソフトウェア開発以外のプロジェクトでは、組織やチームのミッション達成のために取り組むべき課題とその施策、施策を具体的に実行するためのタスクをリスト化します。チームで共有する業務(タスク)リストと言えます。

②スプリントバックログ

スプリントバックログ

スプリントバックログは、スプリント期間で実施する作業をリスト化したものです。

スプリントプランニングでプロダクトバックログから選んだ項目と、それらを実現するために分解されたタスクをスプリントバックログとします。

③インクリメント

インクリメントは、いつでもリリース可能なプロダクト(成果物)のことです。

ソフトウェア開発プロジェクトの場合は、動作可能なアプリのことです。ソフトウェア開発以外では、プロジェクトの顧客やユーザーにとって価値を生むアウトプットと捉えるのがよいでしょう。

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以上、アジャイル開発手法の一つであるスクラムの基本用語を説明しました。
いかがでしたでしょうか?

用語ひとつ一つをすぐに正確に理解できなかったとしても、スクラムは「チームで」「素早く」「PDCAを回すこと」と捉えると理解しやすいのではないかと思います。これからアジャイルに取り組もうとしている人の参考になればうれしいです。

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「みんなのデザイン思考とアジャイル」事務局の永田
「みんなのデザイン思考とアジャイル」事務局 永田


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