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アジャイルを行うことが目的とならないために必要なこと

こんにちは、「みんなのデザイン思考とアジャイル」をリコーで運営している永田です。アジャイルの世界には、「Don’t just Do Agile, Be Agile」という言葉があるのをご存知でしょうか?

言葉どおり、Do Agileは「アジャイルを行う」こと、Be Agileは「アジャイルな状態になる」ことを意味していて、単にアジャイルを行うのではなく、アジャイルな状態であるべきという強いメッセージを示しています。

なぜこのような言葉があるのかというと、アジャイルを実践しているという人や組織の中には、手法を実践するだけでDo Agile状態に留まってしまっているケースが多々あり、そうした場合には、思ったような効果が得られず、プロジェクトが失敗するケースが少なくないからです。

そこで今回は、Do Agile状態に留まってしまわないために、また、本質的なアジャイルを捉えやすくするために、「アジャイルな状態になる(Be Agile)」についてお話したいと思います。

あなたはDo Agile? Be Agile?【Be Agile度チェック】

まずは、あなた(またはあなたが参加するプロジェクト)のアジャイル状態を簡単にチェックしてみましょう!
アジャイルをすでに実践しているという方は、いくつ当てはまる項目があるか確認してみてください。

□ スクラムのイベント会議以外でのメンバとのコミュニケーションがない(少ない)
□ プロセスを守ることに固執している
□ タスクを消化することに意識の重きがある
□ 何のためにやっている業務かわからない
□ 作成物を作ってもユーザーからのフィードバックをもらっていない
□ 言われたことだけ、決まったことだけ実施している
□ 自分が困らなければよいと思っている
□ 状況が変化しているのに、業務の目的やゴールを変えずにやりきろうとする

当てはまる項目が多ければ多いほど、Be Agileではなく、Do Agile状態である可能性が高いです。

ここからは、「アジャイルを行う(Do Agile)」と「アジャイルな状態になる(Be Agile)」が具体的にどう違うのかをお伝えしていきます。

アジャイルを行う(Do Agile)とは?

アジャイルにプロジェクトを進行する場合は、具体的には、カンバンという管理ツールを使ったり、スクラムのプラクティスという手段を採用して進行していきます。当然ながら、それらを活用するだけではツールや手法を実践しているだけで、アジャイルな状態とは言えません。

例えば、上司から「アジャイルをやって」と言われたから実行するのもDo Agileと言えるかもしれませんし、その他には、「サービス開発のスピードを向上させるため」や「コストを削減するため」にアジャイルを導入するというのもDo Agileといえます。

プロセスやツールなどは、アジャイルの助けにはなりますが、本質ではありません。

アジャイルを実践する目的は、ユーザに価値を届けて、顧客の満足度を上げ、ビジネスを成功させることです。

そこから紐解くと、アジャイルな取り組みを行ったとしても、その目的が達成されるわけではないと想定されるのであれば、そこには注意が必要です。

ただし、アジャイルな取り組みを行った結果として、サービス開発のスピードが向上したり、コスト削減につながったりと、成果を得られるケースはもちろんあります。

アジャイルな状態になる(Be Agile)とは?

一方、アジャイルな状態になるとは、どういうことでしょうか。

その答えのヒントは、アジャイルのあり方を端的に示した「アジャイルマニフェスト」から得ることができます。

アジャイルマニフェストには、4つの価値12個の原則があり、それぞれ考え方の規範となるマインドセットと、そのマインドセットを実現するために従うことが望ましい取り組み姿勢を示しています。

ここからは、「4つの価値」を具体的に見ていきましょう。

アジャイルマニフェストの4つの価値(抜粋)

・プロセスやツールよりも個人と対話を、
・包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
・契約交渉よりも顧客との協調を、
・計画に従うことよりも変化への対応を、

価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。

これら4つの価値からわかることは、アジャイルは具体的なプロセスや手法ではなく、あくまでこれらの価値観に基づく活動であるのが重要だということです。

ただし、4つの価値と12個の原則に関する記述は、ソフトウェア開発を前提とした宣言になるため、ソフトウェア開発以外に適用する場合は理解しにくいところがあります。

そこで、アジャイルソフトウェア開発宣言の読みとき方を参考に、それぞれをソフトウェア開発以外の場面でどう解釈すべきか、わかりやすく解説していきたいと思います。

「プロセスやツールよりも個人と対話を」
→→ 個人同士の対話を通じて相互理解を深めることで、よりよいチームを作りましょう。

「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを」
→→ ユーザーに価値を届けるものは何かを意識しましょう。そして、それを使って仮説検証を行いましょう。

「契約交渉よりも顧客との協調を」
→→ お互いの立場を超えて協働することにより、よりよい成果と仕事のやり方を作りましょう。

「計画に従うことよりも変化への対応を」
→→ 顧客のニーズやビジネス市場の変化は事前計画を狂わす脅威ではなく、よりよい成果を生み出す機会と捉えましょう。

以上の理解をもとに、冒頭に記したチェックリストを再び見てみます。

  • スクラムのイベント会議以外でのメンバとのコミュニケーションがない(少ない)

  • プロセスを守ることに固執している

  • タスクを消化することに意識の重きがある

  • 何のためにやっている業務かわからない

  • 作成物を作ってもユーザーからのフィードバックをもらっていない

  • 言われたことだけ、決まったことだけ実施している

  • 自分が困らなければよいと思っている

  • 状況が変化しているのに、業務の目的やゴールを変えずにやりきろうとする

これらの状況が見受けられる場合は、Be Agileではないということがおわかりいただけるのではないでしょうか。

アジャイルな状態になるになるためには?

では、アジャイルな状態になるために、私たちは何をすればいいのでしょうか。

その答えは非常にシンプルです。

「なぜアジャイルなのか?」
「そもそもアジャイルが必要なのか?」
「アジャイルの価値観に合致するか?」

これらを、アジャイルに取り組む前にきちんと考えることです。

アジャイルが必要な理由を答えられないのに、アジャイルに取り組んでいる状態は、手段が目的となっていると言えます。

そして、アジャイルの目的を理解した上で効果的にアジャイルに取り組みたいという場合には、多くの実績のあるアジャイルのプラクティスを利用して形から入りながらも、価値観をきちんと体現できるよう、ふりかえりでやり方を見直しながら実施していくのが良いと思います。


そもそも、ある目的を達成するためにアジャイルな状態を目指して進んでいくわけですから、いきなりアジャイルな状態になれるなんてことはありません。ほとんどが、Do Agileからのスタートなのです。

カイゼンし続けることで、気づけばDo Agileだったものが、Be Agileになっていきます。

今この瞬間から、一緒にBe  Agileへの一歩をはじめてみませんか?

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「みんなのデザイン思考とアジャイル」事務局の永田
「みんなのデザイン思考とアジャイル」事務局 永田


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